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淡いまどろみの中で、自分の部屋の扉を叩く音が聞こえて、悟はベッドから身を起こした。
蝶番がカチャリと音をたてながら扉が静かに開く。
「いい加減早く起きろよ、悟。」
自分の名を呼ぶ声と共に、兄の司が部屋に入ってきた。
「あぁ…おはよ。」
悟は大きな欠伸をしながら、司に返事をした。
「あぁ…おはよ。
じゃなくて、早く着替えろよ。
学校遅れるぞ。」
司は困ったような顔をして首を横に振った。
「とにかく…、早く着替えて下に降りてこいよ。
まだみんなメシ食ってるから。」
そう言って司は悟の部屋をあとにした。
「兄弟って面白いのか面倒くさいのかよくわかんないぁ…。」
司が出て行ったあとにそう呟くと、悟は部屋のカーテンを開けた。
続けて窓を開けると、真っ白な朝日が悟を照らした。
そして秋特有の少し乾いた涼しい風が悟の頬を撫でる。
「うぅ…さむっ!!」
悟は両腕を抱きかかえるようにさすりながら、制服に着替え始めた。
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