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飛鳥の行動は、常に子供っぽい上に、大げさなのだが……不思議と人を惹きつける雰囲気のようなものがある。
カリスマ性とでも言うのだろうか?
ともかく、俺と緑川は自然と会話を中断し、自慢げに腕を組んでいる飛鳥の方へと振り向いた。
「てか、始めるってお前……。何か計画でもあるのか、飛鳥?」
「あぁ、勿論だ!私ほどの知的なレディが、無計画で物事を始めるわけがなかろう!」
何なの?この説得力皆無の力説。
いつもいつも行き当たりばったりじゃねぇか、お前。
「……と、いうわけで緑川。
例の物は持ってきてくれたか?」
「えぇ、勿論です、飛鳥さん。
こちらに」
緑川は笑顔のまま、床に置いてあった学生鞄を机の上へと取り出す。
すると飛鳥の顔が一気にパァっと輝き、プレゼントの包装紙を破る子供の如く、その鞄を開け始めた。
「……なんだ、コレ?」
思わずそう言葉を漏らした俺。
緑川の学生鞄の中に入っていたのは、大量のA4サイズの用紙。
一枚手に取って眺めてみると、そこには、カラフルに大きな見出しが書かれていた。
「『困ったことがあったら、正義の味方・助太刀部へ』……?
なんだ、コレ。ポスターか?」
「フフフ、その通り!私が昨日、緑川に印刷してくれるよう、お願いをしておいたのだ!
宣伝活動と言えば、やはり学校に掲示するポスター!
どうだ、俊平!私のこの素晴らしいアイデア!惚れたか!?」
「あー、そう、だな……」
いや、至って普通のアイデアだと思うが……とは、口で言うのは止めておこう。
きっと飛鳥は不貞腐れるに違いないから。
それにまぁ、去年のように放送室を占拠して『自分は正義の味方だ』発言をされるよりかは何倍もマシだ。
コイツも、ある程度常識というものを学んでくれたらしい。
「そ、そうかそうか。わ、私に惚れてしまったか、俊平。
こ、ここ、こんな場所でそれを宣言されるのは、いささか照れるな……。あ、いや、決して嫌だというわけでは無くてな……」
「んで? こうなったお前は、もう何をしても止められないから……宣伝活動するのは百歩譲って許すとしよう。
だから、そろそろ本題に入ってくれ。面倒なことは、早く終わらせたい」
「む、むぅ。そ、そうだな。
まったく、ここで照れ隠しとは……俊平は"つんでれ"だな」
「本題」
「わ、分かっている!」
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