第四夜

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『うう…』 ふいに拓哉のうめき声が響いた。 晴海は涙をためた目を向ける。 あの歪んだ表情は消えていた。 悲しげに沢山の涙を流す拓哉。 『…晴海、ハルミ』 思い出してくれてる。 拓哉が、あのときの事を。 『お願いだ、これ以上晴海を傷つける前に』 拓哉は先輩に懇願する。 先輩は黙ったまま頷くと、その額に手を添えた。 拓哉の姿が薄れていく。 『晴海』 名前を呼ばれて、晴海はじっと拓哉を見た。 『また、いつか』 あのときの優しい笑みに胸の感情が溢れ出す。 「また、ね」 涙でぐしゃぐしゃな顔を無理やり笑顔にしながら、晴海は優しく別れを告げた。 先輩の柏手の音が響く。 拓哉は夕闇に紛れるようにその姿を消した。
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