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しかし、この何処か良い雰囲気を打ち壊すかの様に開けられる玄関、見上げれば1番上の兄貴が帰宅しましたとネクタイを緩めながら入って来る。
「んぁ、何してるんだ亮?」
玄関先の壁へと凭れ掛かり携帯を片手に話し込む姿を上から下と視線を流す様な見方にムッとした表情で見返す。
「見て分からないなら、聞いたって分からないだろ、さっさと行けよ」
親父にも兄貴にも素っ気ない対応は変わらず、邪魔だと手を払うように動かせば、ニヤリと上げられた口元を見て眉間の皺を深くさせる。
「なんだ、コレか?」
立てられた小指を見れば当然とばかりに頷いてやる。
「だから早くあっちに行け、邪魔だ」
「んなぁろ、ガキが色気づきやがって、どんな子か今度お兄さんに紹介しろってんだ。可愛い子なのか?」
「可愛い、照れるとすげぇ可愛い。感度もすげぇ良い」
「…………ッ!」
何となく、携帯越しに伝わってきた俊弥の雰囲気にこれ以上はと玄関にまだ立っている兄貴の横を通り過ぎ、靴を履き始める。
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