序章 強制非公開

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あとは配下にその電話番号に直接電話させ、キツく料金を取り立てさせた。 アクセスしてきた連中は、皆一様にブルった。 「なぜ、電話番号がわかったのか?」 この初期段階では、恐ろしいほどすんなりと支払いされ、料金は続々と入金された。 しかし、不当に高い料金よりも「なぜ電話番号がわかるのか」が社会的に問題になり、ニュースにまでなった。 訳知り顔で知ったかぶりのニュースキャスターやコメンテーターは皆くちを揃えて言った。 「それは、適当に電話をかけて架空請求をしてるんです」 でも、この初期段階では架空請求はない。架空請求は俺たち以外の別業者が、ずっと後からやりはじめたことだ。 真実は、当時の個体識別番号の甘さが原因だ。 電話をかけられた側は、必ずエロサイトに一度はアクセスした人間だ。 だからこそ身に覚えがある連中は、すんなりと金を支払ったのだ。 ニュースでインタビューを受けてた自称被害者は 「何で電話番号がわかったか不思議です。アダルトサイトからの請求でした。私はそのサイトに間違ってアクセスしたんです。10秒くらいです。」と主張していた。 トラップ(罠)から間違ってアクセスに誘導できるようにしたのはもっと後年だ。 当時は、アダルトサイトをまともに宣伝していて、その広告をクリックしないといけない仕組みしか作ってなかった。 つまり、100%客の同意のもとで彼らはエロサイトに来たはずなのに、エロオヤジたちは皆一様にすっとぼけてたのがおかしかった。 ただ、携帯電話会社の開発の連中だけは、その真実に気づいたのだろう。 携帯各社は個体識別番号での電話番号併用をやめ、現在使われている英数字の羅列の識別IDに変更しはじめた。 この時点で、相手の電話番号が全くわからなくなってしまってた。俺はここで手を引いた。 この時はすでに、同様のエロサイトは乱立状態で、シノギとしての旨みは無くなってたからだ。 俺が手を引いたあと、考えられる単純な言葉全ての組合せをパソコンで生成し、自動的にメールを送りつける迷惑メールや、 それこそ適当に電話をかけ請求する架空請求が流行りはじめた。 また、あるサイトは、 「このままでは高い料金が発生します。キャンセルするには入力フォームに住所氏名電話番号を入力して送信してください」などと謳い、個人情報を入手して請求を続けていた。
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