第2章 愛するということ

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「最初から家庭持つなか…ああ、その方が良かったかもな…。 初代に言われたことがある。 隆志、家庭持つなら一人前の親分になってからにしろってな。 それ言われた時には、すでにひとり目の子供妊娠してた。 籍入れて、見よう見まねで結婚生活してな。 最初の子供は流れちまったけどな…」 兄さん。 ヤクザって生き方だよな? 「ああ。俺はそう思ってる」 じゃあ、いいんじゃねぇかそれで。 ヤクザが100人いれば、そこに100通りの生き方があるだろ。 カタギの真似事して家庭なんか持つんじゃねぇというヤクザもいれば、 初代みたいに、いっぱしの親分になってから家庭もてと言うヤクザもいる。 逆に、家庭を大切にしろというヤクザもいれば、 はやく支えになる女見つけて結婚してガキ作れって言うヤクザもいる。 兄さんは、そういうヤクザを生きてきた。 だったらいいじゃねぇか。 ただ、俺が言いたいのは 結婚しちまってガキまでいるなら、ヤクザだからという理由で、それを途中放棄するなってことだよ。 ヤクザの本分を守るために、結婚した女を捨てるのか?子供を捨てるのか? それなら最初から家庭なんざ持たねえ方がいいと思うだけだよ。 婚姻を継続できない理由が別にあるならいいけど、ヤクザを理由に家庭を壊さない方がいい。 「……吟 もし、お前ならどんなヤクザを生きるんだ?」 自分でもまだまだ分からねえや。 でも、ヤクザを理由に女を棄てても、いったん家庭を持ったなら大切にする。 おそらく、何よりも大切にする。 だから、ヤクザでいる限り俺は家庭は持たないと思う。 ヤクザには、親分や組以上のモノがあっちゃ いけねえんだ。 「吟、そこまで徹底する、そんなヤクザなんかいねぇぞ」 なら俺が、そのたったひとりのヤクザになるよ。 「吟、もし自分の女、それも心から惚れてる女に、ヤクザやめてとお願いされたらお前ならどうする?」 それは女かい? それとも女房かい? 「女なら?」 それが女なら迷わず別れる。 女もその先きっと、もっとイイ男にも出逢えるだろうし、未来があるから。 「女房ならどうする?」 それが女房なら別れない。そんなこと言わない女房を選ぶか、それか、家庭を持たないから。 「いや、もし結婚しててそう言われたと仮定して答えてくれ。お前の考えが聞きたい」
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