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週明け。
月曜日のだるい気分を押しのけ、僕、目良井明敏(メライアキト)は高校へと歩を進める。
「メラ~、おはよ。」
「おはよ。」
彼女、如月愛(きさらぎ あい)と会えるから。
「その呪文みたいなあだ名恥ずかしいんだけど……。」
「じゃあ私のことザラキって呼べば?」
僕がそう言うと、如月はおちょくるようにニヤけてそう言った。
「……嫌だ。」
如月と登校するのは僕の毎日の日課に等しい。
幼なじみと言う訳でも、同じクラスの友達と言う訳でもない。
ただ、毎朝道で会う。
それだけの関係。
この日課を僕はひそかに楽しみにしている。
「メラは昨日の日曜日何してた?」
「父さん用のパソコンいじってた。根暗だろ?」
僕は冗談混じりにそう言った。
「父さんかぁ……懐かしいなぁ」
如月の家は母子家庭で、彼女の父は彼女が中学校に入学した日に亡くなっている。
それを思い出した僕は青ざめて、
「ゴメン……!変な話題出した?!」
と、眠気でうつむいた顔を彼女へ向けた。
「全然気にしてないよ。ありがと。」
彼女は申し訳なさそうな表情で言う。
如月には隙がない。
陸上部のキャプテンでありながら、成績は上の上。クラスの委員長もやっている。
それに大きな瞳に整った顔立ち……
少しだけ焼けた肌……
栗色のショートヘヤー……
そして……隠れ巨乳……!
「それよりね、私もパソコンいじってたんだ。」
「何やってたの?」
「最近ネットゲームにはまってるんだ~。根暗でしょ?」
何よりこの会話センス……僕のスペックの上の上を遊覧飛行してやがる……。
「すごい面白いよ。」
如月は目を輝かせて話し始めた。
「『ヘヴンズ・ゲート』ってネトゲなんだけど、すごい良ゲーなんだ!ジョブがものすごく多いし、なによりシステムがすごい!キャラ制作する時に自分の家の住所を入力する所があるんだけど、入力すると自分の住んでる地域がそのまま舞台になるの!私ビックリしちゃって軽くイッちゃった。」
なんか如月のすごいアクの強い一面を垣間見た気が……
まぁそれも彼女のスペックと言うことで。
「へぇー。僕もやってみようかな。」
僕がそう言うと如月は……
「あ!じゃあ一緒にやろ!今日やろ!」
神がかった速さで反応するのであった……。
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