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「いや……食べないで!」
その異様な生物はそんな言葉を発した。
声が如月のままなのが余計気味が悪い……。
周りの人々が声に反応して一斉にこちらを向く。
「は……?」
グチャチャチャ……
周りの人々も次々に異様な生物に変わり、僕を取り囲む……。
「ノンケ……ノンケ……」
その言葉に吹き出しながらも、僕は自分が置かれている危機を思い出し額の玉汗を拭った。
「かなりいい!」
突然、如月が変貌した生物が意味不明な言葉を発しながら僕の鼻先まで近づく……
「………」
沈黙と視線が僕を不快に包む……。
「伏せて!!」
「え?」
僕は突然の声に驚き、咄嗟に腰を落とす。
「ボゴッ!」
僕の頭上、しかも10センチ程上のわずかな空間で鈍い音が響いた。
次に僕の目に映ったのは異様な生物のひしゃげた顔と黒い血。
「ひ……」
情けない声で地面に尻餅を着いた僕は先程の声の主を視認しようと後ろを振り向いた。
「あのさ……ちょっと邪魔……」
そこにいたのは……
アニメに出てくるような青い目で長い金髪の少女。
服装は……何と言うか、超能力で悪を倒す某アメコミの戦闘服のようなスーツに黒いスカート、それにメタリックな白いブーツを履いている。
恐らくあの生物をブーツで蹴ったのだろう、ブーツに黒い血がついている。
「ゴメ…ン……」
僕はいそいそと立ち上がり、生物の群れから離れる。
「出る!出る!」
「もういい!」
「ジーザス!」
生物は各々に……憤慨しているのか?
とにかく声を荒げている。
「じゃ、そろそろ」
少女は数十センチ空中に浮いた……
何だこれ……?
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