陰り ♯2E

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山の手の静かな病院 「至急病院まで来て頂けませんか」 主治医の先生からの電話 「治療室まで来てください」 足早にまた、走る僕 坂道で息が切れる。 でも身体もこころも加速するように走る。 不安・悲しみ…ええことなんて何も浮かばない。 ガチャ レントゲン写真が目に刺さる。 白黒の写真 丸イスのカバーだけが、妙に白い。…白い。 説明は長くもあり、短くもあり ただ人は真剣に聞く時、時間の概念もなくなる 説明は〈再度血液検査やレントゲンまた細胞検査をみると癌の可能性があるから、神〇医大で再検査するように」 「ここにカルテと紹介文あるので奥さんと行って見てください」 みたいな説明。 病室に行くとモトには もう知らされた後だった 「明日会社休んでね。 朝から行こう。一緒に」 「大丈夫やから…」 なにが大丈夫なもんかぁ 一ランク上の病院行け。それが大丈夫な訳がない でもまたモトは、一時にせよ、家へ帰れるのが嬉しいみたいだ。 「今晩、何食べたい?」 強いね。モトは。
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