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空が少しずつ白みをおびてきた頃、木にふらふらと凭れ寄り掛かる一つの影
愛知「ゴホッ!ゴホッ!!」
荒い息を吐き、口に当てた手の平には真っ赤な鮮血が付着している
愛知は眉を顰め、片手に握る護身刀をじっと見つめた
その瞳には、一粒の涙が…
(体が思うように動かない…、そろそろガタがきてるのかも…。はやく、富山の所に…)
ふらふらと重い体を動かし木から木へと移るが、数本先でその動きが止まり、ずるずると足から崩れ倒れた
「…ぁぃ……ぶ…!」
「…あ…ち…ぁ…く!」
愛知が薄れていく意識の中で最後に捕らえたのは、誰かが駆け寄ってくる音と声
それを最後に、愛知は意識を手放した…―
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