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「何か用かい?」
あからさまに警戒しながら寝転がったままの姿勢で青年は問うたが、青年の頭の方向に立った黒ずくめの男はしばらく何も言葉を発しなかった。
「……良い剣を持ってるな?」
品定めでもしていたかのような間が空き、若い男の声で黒ずくめは言った。
それを聞いて青年はまた瞼を閉じ、呆れ果ててため息を吐いた。
「あんたも追剥ぎか。なあ、この街じゃ物取りが流行ってんのか?」
そう言って青年は呆れから顔をしかめながら、視線を後方で見えない黒ずくめに向けた。
そして黒ずくめも視線を、己が通ってきた後方に向ける。
黒ずくめの周りや背後、そこにあったのは惨状だった。
老若を問わない男達がそこに、まるで合戦の後のように群を成して転がっている。
いかにもな柄が悪そうなその男達は完全に伸されているようで、流血こそ見当たらないが全員がピクリとも動かない。
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