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小高い丘の草原に、地獄絵図のような光景が広がっていた。
「物取りが流行るなんてさ、この街はそんなに景気が悪いのか?」
「……さあな」
言葉を曖昧にぼかしながら、黒ずくめは背負っていた複数の武器を地面に落とし、その中から一本の剣を引き抜いた。
「大人しくその剣をよこせ」
黒ずくめのその言葉を聞いて、青年は寝転がったまま吹いた。
そして軽く笑い、上半身だけ起こして横に置いていた漆黒の剣を手に取る。
「ったく……あんたもこの剣が狙いか。この黒牙『シュヴァルツ・レーヴェ』が」
「…………」
「この剣を持っているってことの意味が、あんたもわかってるんだろう?」
青年はゆっくりと立ち上がり、その青い瞳で黒ずくめを見据えた。
ベルトが沢山あってゴテゴテしたコート風のアウター、その下にパーカー、さらに下は立てる襟の服。スキニーに近いのボトムス、ベルトでゴテゴテのブーツ。金属部分を除いてほぼ全てが黒い。
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