序章<prolog>

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  「くっ……まだあれほどのレッサーデーモンを有して……!!」 『グガァアアアアアア!!!!』  己の軍勢を鼓舞<コブ>するように、再び双頭の怪物が吠える。  血走った赤い瞳をぎらつかせた無数の悪魔達が、魔術師達の方へまっすぐ突撃してくる。 「お、畏れるなっ!! 我らハイゼンガルド王国・王宮魔術師の力、今ここに示すのだ!!」 「「「うおおおおおおおおお!!!!」」」  複数の魔術師達が始めた詠唱が入り交じり、響き合うどころか互いに干渉して騒音のように乱れた音を生む。  そして詠唱と共に解き放たれ魔力が凄まじい光を生み、風が吹き荒れる。 「なっ、待ちなさいっ!!」  隊長・アリシアの制止を聞かず、まるで積年の恨みや憎しみを晴らそうとするかのように魔術師達は駆け出す。  
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