始まりはいつも雨

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血の様に紅い紅い空に覆われたこの世界。 黒い雲が幾重にも渦巻き、雷光が雄叫びをあげる。 木々は枯れ、大地はすっかり痩せこけていた。 およそ生物が生きられそうにないこの世界の中心には 巨大な城がそびえ立っている。 それは凶々しい雰囲気を放ち、ありとあらゆる物が近付く事を常に拒絶しているかのようだ。 ……突然だった。その城から轟音が鳴り響いたかと思うと 城の壁が炎を吐き出しながら盛大に弾け飛んだ。 続けて黒煙が立ち上る。 外部からの攻撃でないのは明らか。 更に二度三度と轟音が響き渡り、爆炎が城を破壊していく。 城の中からは何やら叫び声が。 しかも複数の怒号が聞こえてくる。 金属が激しくぶつかる高い音が幾度となく響き、続けて雷が城から飛び出して来る。 どうやら城の内部で戦闘が行われているらしい。 しかもかなり激しく。 この城の主であり、全ての魔族の王『魔王』と 世界を救う為に選ばれし、 運命の子『勇者』 そしてその仲間達。 世界の命運を賭けた最後の戦いの火蓋が……今切って落とされたのであった。
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