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「……は?呪いだと?」
「その通り。かけた本人以外には誰にも解けぬ呪い。
つまり、私が死ぬ事で未来永劫貴様は呪われたままだ。」
呆気に取られた様子のアベルに、瀕死とは思えない不気味な笑みを浮かべながらゼツはそう語った。
そうしてゼツが口を閉ざすと異変が起きはじめた。
ゼツの体が炎に包まれ勢いよく燃えはじめたのだ。
と同時にアベルの体が紅黒い球体に包まれていく。
「フハハハハ!勇者アベル。せいぜい苦しめ!!
貴様の人としての歴史は今日で終わる!」
「なんだと!それはどういう……!!うわっ何だ!?体が……消え……うわぁぁ!」
ゼツは満足気に高笑いしながら炎の中に消えていった。
一方のアベルはなんと、体が
細かい粒子のように変わり、少しずつその身が分解されているではないか。
「リーダー!!」
「おい、大丈夫かっ!」
完全に空気と化していたエレナとルガンが、異変を察して手にしていた紅茶とクッキーを放り投げて駆け寄ってくる。
「お前ら……ホントにお茶して……うおっ!何コレ超ひっぱられるぅぅ!!
そんなに強くしちゃ駄目えぇぇぇ!!」
気持ち悪い悲鳴を上げながらもアベルの体は瞬く間に分解され続け、ついに頭だけになってしまっていた。
「くそっどうやら俺はここまでのようだ……どうか皆に伝えて欲しい。世界は救われたと。もう闇に恐れを抱く必要はないと。
そして……勇者アベルは最後までイケメンだったと。
後、俺のベッドの下にある本は俺が買ったわけじゃなくて友達のゴメスが無理矢理置いていったし、一回も読んでないから内容とか知らないし、と……」
「あ、あぁ……わかった。最初はいい台詞だったのにな」
ルガンが顔をひきつらせながらアベルの最後の言葉を胸に刻み込んだ。
「ぐうっ、そろそろお別れみたいだ……二人と今までありが……と…」
「リーダー!」
「アァァブゥエルウゥゥア!!」
アベルは仲間の声を聞きながら優しく微笑むと静かに消えて行った。
勇者は……光と共に……
「……なぁ」
「なんです?」
「魔王倒したのさ、俺達二人って事にしねぇ?」
「……いいですね、乗りましたよ」
……光と共に……消えた?
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