校舎の秘密

2/12
前へ
/106ページ
次へ
夜の学校。 昼間はあんなに賑やかなのに、やっぱりと言うべきか、静かだ。 街灯に照らされた並木を見上げると、まっ赤なもみじが風になびいていて、秋の訪れを感じる。 …五感が、鮮明だった。 事細かく見たもの、聞いたもの、嗅いだもの、食べたもの、触ったものが瞬時に理解できる。 しかし、なにもわからなかった。 五感が感じ過ぎて、思考が追い付かないような、不思議な感覚。 緊張と焦りを胸に、あいつが来るのを待った。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加