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「いい? 行くわよ」
「なにも睨まなくてもいいじゃ…」
「ヘンタイ」
「はいどうもすみませんでしたー!」
はぁ。
「で、どこにいるんだ?」
見渡すかぎり、ただのトイレ。
どこにもそれらしき人影はない。
「ここよ」
扉を指差し、そう言った。
「ただのドアじゃん」
押してみたが、びくともしない。
引いてみても、結果は同じだった。
「誰もいないはずじゃ…あ、もしかして浩輔?」
「ちがうよ。ここは花子さんの部屋」
は?
「花子さんって、あの花子さん?」
「そう。怪談に出てくる花子さん」
バカらしい。
「いまバカにしたでしょ?」
「だって…いるわけないだろ? 普通の反応だから」
「じゃあ、見てもらうしかないわね。はーなこさんっ!」
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