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「確かに変人っぽいけど襲ってきたりするようには見えないよ?それにもうだったとしてもそれはそれで非日常的で面白そうじゃん」
「ハハハ・・・・・へぇ、そうなんだ・・・・・」
乾いた笑い声になってしまう。
彼女は予想の範疇を越えすぎた、
ここまで来ると青年の頭が真っ白になるのも無理はない。
そして頭の中にあった何かが吹っ飛んでしまった。
段々と彼女に対する対応の方向性が自覚もせずに変わっていく。
むしろ怖がらせてやろう、と
「俺は香月グループの研究所から逃げてきた、
これは香月には都合が悪いことで今追われている。
今頃警察にまで手を回しているだろう、
だから見られたら色々とまずいんだよ。
報酬も出るだろう、
そんな危険を野放しにしていくわけには行かないな」そしてじりじりと距離を詰めていく。
そして彼女の前に立ち、手を振りかざす。
「運が悪かったな、あば・・・・っぶ」
青年の口はタコの口の様に横に手で潰された。
「そんなのわかりやすすぎだよ、本当に面白いなー」どうやら逆効果だったようだ
「ま、言ってることは本当なんだろうね。私は藤沢 英子、名前は?」
青年は強がりなんかじゃなくて本当に楽しんでいると確信した。
「名前はないけど198番って呼ばれていた」
それに対して考えるような仕草でうーんと唸り
「じゃあ語呂で郁也」
「それは考えた結果か?」
「もちろん!」
「前世はオッサンか?いや、実はオッサンか・・・」
藤沢は反論が言いたいのか、
わーわーと騒いでいたが無視して聞いた。
「実際藤沢は何がしたいんだ?」
「私は面白いものを見たいだけだよ?郁也が居れば絶対に楽しいと思うし、
ってことで匿ってあげよう!」
「それって親はどうするんだよ」
そういった瞬間、
藤村の顔から笑みが消えた。
「私の両親はね・・・・いつの間にか消えちゃった。学者さんだったんだよ、
それである日何かを思いついたかの様に家を飛び出してそのまま帰ってこなかった。」
(まずいこと聞いてしまったな・・・・・)
「ごめん、悪かった」
「いいよ、だから私はそのことに心が負けないように楽しく過ごそうと思ってるんだよ」
郁也は藤沢を前向きで気丈だと思った。それは郁也に今一番必要な物だったから。
「─そっか、 それじゃあ連れてってもらおうか」
そういうと藤沢の顔に笑みが戻り、
力強く頷いた。
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