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馬車がグラリと揺れ動き、アルが「キャアッ」と目を醒ました。
ガンッと馬車のドアを蹴り開けて飛び出すセラ。
背中の大剣に手をかけ様とした瞬間、フワリと体が宙に浮いた。
「なっ…!!」
「女を捕まえましたぜ兄貴!!!!」
「そのままアジトにつれてけ!!!!」
「わかりやした!!!!!!」
男の声が頭上で聞こえた。
遅れて飛び出したヨナが見たのは空高くセラを抱き上げ飛んでいるコウモリ羽を背中につけた魔族の姿。
「セラ!!」
「こんの、離せ!!!!むさくせぇ!!!!!」
そのままセラは魔族の男はあっという間に連れ去られてしまった。
「セラ!!!!」
拳銃を構える間もなかった為ヨナはチッと舌打ちし突風が収まった周りを確認した。
アルは突風の衝撃で揺れた馬車の壁に頭を打ったようで痛む側頭部を抑えている。とりあえずは無事だったようだ。
ほかの兵士達も混乱はしているようだが怪我などは無いらしい。
「どういうことだ…」
ヨナは魔族が去っていった方角を見つめて呟いた。
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