1963年~

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『鉄人28号』 漫画総合点: 871位/5,791作品中 ・師匠の手塚治虫先生の「鉄腕アトム」とともに日本のアニメ界の境地を切り開いた作品である。当然アトム同様モノクロ作品であり、同様のアニメーション技法で雑だったり単調だったりしますけど、内容的には重厚なストーリードラマに仕立て上げられてます。 ・アトムが人間と同じ感情を持つヒューマノイドであるのに対して、鉄人は巨大でリモコンで人に動かされるタイプで、操縦する人によって正義であったり悪であったりします。であるからして見所は鉄人の活躍もさることながら、鉄人を操縦する人間の描写にあるといえましょう。 ・鉄人の動きは操縦者の心理そのものを行動に出ているところが面白い所です。つまり鉄人という科学兵器は人の心の判断でどんな事態になるのかを見せているのではないかと思います。それだけに本作品は科学は人の考え・使い方次第で役立つこともできれば崩壊を導くことにもなるということを教えているのではないかと感じます。 ・本作品は後に「マジンガーZ」から始まる巨大ロボットアニメブームの原点になったという意味においては、日本アニメ発展の基礎を築いたという非常に重要な存在であるといえるでしょう。 ・鉄人28号の造形(デザイン)や設定自体は素晴らしいものですが、漫画としてのストーリーやプロットは稚拙で作者の苦悩・試行錯誤が伺えます。逆に絶賛するほうが作者に対して失礼だと思う。登場人物も右往左往しているだけの中身(テーマ・主題)のない紙芝居になっています。しかし、だからこそ後世の人たちの自由な発想を可能にし、新たな鉄人像が次々に創造されていくことになったと思います。仰られるようにドラマツルギーとしては「今川監督の手法は必然かつ最も正しいあり方」だと思います。 ・鉄人のリモコンで操れる要素はあとで、『空想科学読本』で読むと、かなりリアルさを突いた設定であり、リモコン兵器という意味でも結構リアル視点であることを捉えており、後の『マジンガーZ』のようなスーパーロボット要素だけでなく、『ガンダム』といったリアルロボットの要素も入れられたものでありました。
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