1⃣手塚 治虫

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●コマ割りの工夫、絵柄の記号化 手塚漫画の達成として「コマの読み方」を変えたことを挙げられている。 それまでの日本の漫画は、現在の4コマ漫画と同じように、1ページ内で右側に配置されたコマを縦に読んで行き、次に左側に移りまた縦に読んでいく、という形で読まれていた。 しかしこの読み方ではコマ割りの方法が大幅に制限されるため、手塚は赤本時代に、上の段のコマを右から左に読んで行き、次に下の段に移りまた右から左に読む、という現在の読み方を少しずつ試み浸透させていった これに加えて、初期の手塚は登場人物の絵柄をより記号化し、微妙な線の変化を用いて人物造形や表情のヴァリエーションを格段に増やした。流線や汗、擬音などの漫画的な記号も従来に比べて格段に増やしており、このような表現の幅の広さが、多数の人物が入り組む複雑な物語を漫画で描くことを可能にし、また絵柄の記号化を進めたことは、絵を学ばずとも記号表現を覚えることで、誰でも漫画を描くことができるという状況を作ることにもなった。また物語という点において戦前の漫画と手塚漫画の物語を隔てるものは「主人公の死」などを始めとする悲劇性の導入であり、死やエロティシズムを作品に取り入れていったことで多様な物語世界を描くことを可能にし、以降の漫画界における物語の多様さを準備することになった また政治的関心が強かった手塚は作品中でも様々なメッセージを大衆に発信した 博識豊富な手塚作品は手塚没後も日本漫画界のスタンダードして高い評価を受けている。 また手塚漫画を読んでから漫画家を志したものは多い 『オバケのQ太郎』『ドラえもん』『怪物くん』などで知られる藤子不二夫3⃣ 『サイボーグ009』『仮面ライダー』の石ノ森章太郎7⃣など
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