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「万里ちゃんだー!」 「千波ちゃん、走ると危な…きゃうっ」 その先生に向かって駆け足な千波が転んで危ないと言う先生が逆にこけた。 …躓くものは何も無いと思うんだが。 「万里ちゃん大丈夫っ!?」 「万里江先生ぇ…。気をつけて下さいよ」 「あははは…。躓いちゃった」 沙希の手を借りて起き上がる先生は鼻を擦りながら、この出来事を苦笑に変える。 教育実習生って確か大学3年生くらいだろ? 俺より1つ年上なのになんだろう、この頼りなさは。 進藤先輩や彩先輩の方が全然大人っぽいけども。 じーっと観察するように見つめていると目と目が合ってしまった。 「さ、沙希ちゃんのお兄さんですよね? は、初めまして」 「初めまして。妹たちがお世話になってます」 会釈されたので、俺も慌てて頭を下げる。 「そ、そんなお世話だなんて…。私まだ教育実習生ですし」 「謙遜、謙遜。万里ちゃんしっかりしてくれてるよ」 「そうですよ。お兄ぃよりちゃんとしてますよ」 自分を低くみる先生にフォローを入れる2人。 「千波ちゃん、沙希ちゃん…ありがとう!」 満面の笑みで返事を返す先生は本当に嬉しそう。 「それじゃ先生も来たことだし、みんなで帰ろうか?」 「そうね…ってあんたが先に行くからでしょ」 「ぷっ…。沙希って名前の割に来るのが後だよね」 「うるさいわよ、千波っ!」 走り出した2人を追いかけて俺と万里江先生も靴箱を後にした。
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