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「待ちなさい、千波!」
「きゃあーーーっ」
万里江先生の超人っぷりを知れた帰り道でまたも2人が走り回っている。
…原因は言わずも千波がちょっかいをかけたせいだが。
元気は余りあってるようでその姿はいつしか見えなくなっていった。
「2人共元気だなぁ」と心の中で微笑みながら自転車を押して歩くと横にいる万里江先生が口を開いた。
「神崎さんって…千波ちゃんのこと好き、ですよね?」
「――!?」
いきなりのその質問に耳を疑った。
千波を好き?
「え? あ、な、何で…?」
「神崎さんの様子見てたらなんとなくそうかなーって」
「そ、そうですか?」
「そうですよ。千波ちゃんのこと目で追ってますし」
にこりと優しい笑顔でそう言う万里江先生の顔を見て、心を見透かされたような気分になった。
いや待て。
おかしいぞ、俺。
なんだよ、見透かされたって。
それって本当に千波のこと好きみたいじゃないか!?
いや、別に嫌いな訳じゃなくて…でもこの好きってそういう特別な意味で?
いやいや、でもでも……
一人無限ループの中で苦しむ俺に万里江先生が助言ような言葉をかけてくれた。
「直感と感情でいいんですよ」
「直感と感情…ですか?」
「はい。そういうのは考えても分かんないですし、心で思ったままに行動したらいいんですよ」
…心で思ったまんま、か。
万里江先生が言った言葉が素直に心に染みた。
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