参観に参加!

14/14
前へ
/467ページ
次へ
「私はこっちの方のなんで、それじゃあ」 「あ、はい。気をつけて」 並んで歩いていた万里江先生は帰り道にある小路の方に足を運ぶ。 先生に軽く会釈して、その後ろ姿を見送った。 「直感と感情かぁ…」 一人になったので自転車に股がり、ペダルを漕ぎながら先程言われた言葉を呟く。 …考えても分かんないか。確かにそうなのかもしれないな。 「お、やっと追いついたぞ」 少し自転車を漕いだところでようやく走ってった2人の姿を目視できた。 「遅いよー、ゆーくん」 「いやいや、お前たちが勝手に走りだしたからだろ」 「お兄ぃ、万里江先生は?」 追いついた途端、千波は理不尽な文句を言い、沙希は万里江先生の姿を探した。 「途中で別れたけど」 「そっか。万里江先生、あっちの方面だから」 納得した沙希はさよなら言いそびれた、と残念そうに呟いた。 ……にしてもこの2人いつもこんな風に帰ってんのかな? 「うん、大体いつもこんな感じかな。あと寄り道したりとか」 「うん…、心の中の疑問を解消してくれてありがとう」 千波が疑問を解決してくれたとこでもう家が見えてくるところまで来ていた。 「あれー? 悠二に千波ちゃん、沙希ちゃんじゃん。どーしたの? みんな揃ってさ」 「あ、鈴ちゃーん! 今学校の帰りなんだ。ゆーくんがわたしたちの授業参観に来てくれてねー」 するとゴミ袋を手にしたスズと出会った。ゴミを捨てに行くところなんだろう。 「へー、楽しそう……悠二、どうかした?」 「いや…なんでもない」 俺の様子が変だったのか、スズは心配の言葉をかけてくれた。 「千波ちゃんのこと好きですよね?」 「様子見てたらなんとなくそうかなーって」 初対面の万里江先生でさえ分かってしまうことなんだ。 ということは勿論スズもそのことを知ってる…。 そう思うとスズの顔を直視出来なかった。
/467ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2532人が本棚に入れています
本棚に追加