苦悩・本心・大学祭!

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千波のこと好き、か…。 ベッドの上で仰向けになって一人で考え続ける。 千波は今、沙希と一緒に夕飯の買い出しに出ていて部屋には俺一人。 なので一人でいる内に自分の気持ちを整理することにした。 だって普段一人の時間ってのがあんまり無いしな。 平日はお互い、大学、中学に行ってるけど夕方から一緒にいるし、休日ともなれば一日中一緒にいる。 だからこんなこと考えてる暇なんてなかった。 いや、考える必要がなかったのかもな。 いつも千波と一緒にいる。それを日常、普通だと思ってたから。 でも―――― 「あたしは悠二のことが好き」 スズに告白された。 それに返事をずっと待たせてしまっている。 …なんであのとき、すぐに返事をしなかったんだろう。 正直言ってすごく嬉しかった。 そりゃそうだ。 俺はモテ男なんかじゃないし、告白されるなんてそんな嬉しいイベントはない。 それに本当は俺、スズのこと好きなんだ。 我ながら女々しい話だと思うのだが、中学のときスズと別れてからずっと心の隙間にスズのことを想ってた。 なのに、どうして? どうして俺は返事を渋ったんだろう。 あのとき、ふと浮かんだ千波の顔。 と、いうことはそういうこと… 「いやいやいや! だから俺は! 俺は…?」 その次の言葉が出なかった。 というか出しちゃ駄目とさえ感じた。 すると、 ピンポーン。 と軽やかな音でチャイムが鳴り、玄関のドアが開いた。 「やほー、悠二起きてるー?」 スズだ。
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