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「それであと、なんでこの時期に大学祭があるの?」
「俺に聞かれても。「どーせ夏休み抜けしてないでしょ」っていう大学側の計らいなんじゃねーの?」
「ふーん…?」
確かに夏休み終わって、来週の土日に大学祭があるのはおかしいよな。
まぁ、長期休暇のうちに準備も出来るし、それはそれでいいんだろう。
とりあえず今週の土日は準備でバタバタするんだろうけど…。
「ねぇ、悠二は大学祭行くの!?」
「お、おう。今年はバイト入れないように気をつけてるから土日のどっちも行こうって考えてるけど…?」
ずい、と近づくスズの圧迫感にたじろぎながらも返事を返すとその声に倍にして俺に返してきた。
「じゃあ、一般非公開の土曜日、あたしと一緒に回らない?」
…スズからのお誘いだ。
「うん。俺も暇だし、一緒に回ろっか」
「やったぁ!」
実際、一般公開日の日曜日には居候と行くだろうから、俺としてもスズと一緒の時間を作りたかったし。
…俺の、自分の気持ちをしっかり決めるためにも。
「約束だよ! ドタキャンとか無しだからね!」
「ドタキャンなんてしねぇよ」
「それじゃ来週楽しみにしてるね!」
最後満面の笑みを見せて部屋を出ていった。
その笑顔を見ただけで胸が締め付けられるような苦しみを覚えた。
……これは?
結局俺の気持ちが固まらないまま後期が始まった。
休み明けの講義は身に入る訳もなく、惰眠を貪る日々を過ごしていると、あっという間に約束の日がやってきた。
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