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「ただいま…」
「おかえり!」
玄関のドアノブを捻り、自宅にと足を踏み入れると千波が元気よく迎え入れてくれた。
そんな千波は俺が前にあげたうさぎのぬいぐるみを抱いてテレビを観ていた。
「ゆーくんお腹すいた? だったら今から作るよ」
そう言ってぬいぐるみを抱き抱えたままベットから腰をあげる。
あ……。
食べ歩いてきたから別にそんなにお腹はすいてないんだけど。
「ゆーくんもうすぐ帰ってくると思ってたから我慢してたんだよ? お腹すいたー」
時折羞恥が垣間見える笑みを浮かべながら台所に立つ千波は、フライパンを片手に腹を擦る。
そんなこと言われたら、なんだか申し訳なくて「俺は要らない」なんて答えられないじゃんか。
「じゃあ、お願いします」
「りょーかーい!」
俺の返事を待ってましたと言わんばかりに声を返し、冷蔵庫の扉を開ける。
そこから料理に必要な材料を幾つか取り出すと、まな板を上にそれらを並べる。
本当、千波が料理してくれて助かるよ。
初めは、
「俺も何か手伝おうか?」
「大丈夫。ゆーくんはゆっくりしてて」
なんてやりとりをしていたけど、千波が料理をする度にこのやりとりを繰り返してたので、面倒になったのか自然と無言の了解となっていた。
そんな訳で足の疲れを取るため、足を伸ばして横になる。
「お待たせー」
そしてご機嫌に作った料理をのせた皿を持ってやってきた。
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