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「ゆーくん、そんなところで寝てると頭が痛くなるよ?」
「あぁ、確かに床は固い……って寝てたんじゃねーよ!」
起きてすぐにこんなツッコミができる俺は寝起きがいいようだ。
そんな俺のところへとたとたと可愛い足音を響かせながら愛莉がやってきた。
「お兄ちゃん…おはよう」
「おはよう愛莉」
笑顔つきのその挨拶に俺は頭を撫でるのをセットして返す。
「…うみゅぅ…。今日はお兄ちゃんと…お姉ちゃんで…一緒に行くん…だよね…?」
「うん。久々のみんなでの外出だよ」
嬉しそうに笑う愛莉の頭を再度撫で、部屋の奥を覗くと沙紀が明らかに怒った様子でベットに腰かけていた。
「沙紀さん? なんか…怒ってらっしゃいますか?」
恐る恐るその様子を尋ねてみると、沙紀は目だけをこっちに向けると一息のため息をついた。
「はぁ…。こんな歩く性犯罪者と一緒に行くなんて」
「おい。兄に向かって性犯罪者は無いんじゃないんですか!?」
「だってそうでしょう。今日だって、わ、私のその…」
恥ずかしそうにその次の言葉を言うのをためらう。
「いやいや不可抗力だから。着替えてるなんて思ってなかったんだよ」
そう説明しても沙紀はどうせ知ってて来たんでしょ、と信じてくれない。
まぁ、知ってたら知らないフリして来るかもしれないけど。
「…お兄ちゃんは、せー犯罪者さんなの…? 捕まっちゃうの…?」
愛莉はオロオロと不安な様子で今にも泣き出しそう。
「だ、大丈夫だよ。俺何にもしてないし。だから大丈夫だよ、愛莉」
「早くお祭り行こうよ~!」
そんな愛莉を宥める俺の前方にいる千波がここでも駄々をこねた。
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