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「ゆーくん! ゆーくん!」
「はいはい」
「早くっ! 早くっ!」
「はいはい」
結局千波の早く行きたいという気持ちに負け、まだ大学祭が始まるには早いが、家を出てしまった。
っていうのは嘘で、行こうよ行こうよとうるさく、耳が痛くなるそうだったからだ。
「愛莉、こけないように気をつけるんだよ?」
「うん……!」
ということで外に出た俺たちは大学に向かって歩く。
俺と愛莉は横並びになって歩き、先を急ぐ千波は前、沙紀は後ろの方を歩いている。
沙紀曰く、変態と並んで歩きたくないらしい。
そんな変な並びで歩いて行く俺たちはあっさりと大学まで到着してしまった。
「あと…15分か。また微妙に待つことになるな」
正門で立ち往生する俺たちの周りには他の人たちも集まっていた。
去年はバイトのせいであまり祭りのことは知らなかったけども、こうして朝から人が待つくらいなんだから人は多いんだろうな。
愛莉と喋り、沙紀に無視され、千波のテンションに翻弄されながら待つこと15分。
やっとのことで始まる大学祭は始まった途端、騒がしくなった。
「…すごい! ここにお兄ちゃん…通ってるんだよね…?」
「へー、ここが大学…。確かにすごく広いわね」
「でしょー。でしょー」
初めて足を踏み入れる大学に新鮮な反応をみせる妹たちに、千波は自慢気にここはどうだとか説明をし始める。
…去年まで一緒に来てたもんな。
その当時を懐かしみながら、4人でキャンパス内を歩き回った。
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