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「これ欲しいなー。あ、あとあれも」
「えと、自重して下さい」
千波が目に入るもの目に入るものを欲しがるので俺の財布が悲鳴をあげ始める。
沙紀や愛莉もいるから出費が激しいんだから。
「そーいえば鈴ちゃんは?」
イカ焼きにかじりつきながら千波が尋ねてきた。
「今日はサークルの方の手伝いがあるらしい。藤本君の方は?」
「優樹君は午前中、塾なんだってー」
更に、午後になったらこっちに来るよ、と付け加える。
「…お兄ちゃん、さっきから買ってばっかで何も食べてないよ…? ホットドッグ一緒に…食べよ…?」
「ありがとう愛莉。それじゃいただきます」
愛莉が差し出してくれたそれに口を大きく開いて食べた。
すると愛莉が
「あ……」
と何かに気づいた様子で恥ずかしさを含む笑顔を見せる。
「間接…キッス…だね」
妹だし、この年だし、別に間接キスで照れたりはしないと思ってたけど、愛莉の顔を見たらなんだか照れ臭くなった。
「愛莉…」
と愛しの妹の名前を呼んだところで俺の顔に液体がぶっかかった。
なんだか甘ったるくて、ベトベトする。
「あ、お兄ぃごめーん☆ 炭酸だと知らずに缶振っちゃったヨ♪」
年に稀に見る笑顔を見せて謝る沙紀。
嘘つけ。
その笑顔がそう物語ってるぞ。
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