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「沙紀…さすがにジュースぶっかけんのは勘弁して欲しいんだけど…」
「妹相手に気色悪い笑みを浮かべたお兄ぃが悪い」
千波からハンカチを借り、それでトイレで顔を洗って、顔面のベタつきを取り去った。
それに気色悪いて。
別に愛莉とのほほんとした兄妹の時間を過ごしてただけなのに、酷い言われようだ。
「え? もしかして妬いてんの? 俺と間接キスがしたかったとか…」
「そ・ん・な、わけないでしょっ!」
怒れる沙紀のグーパンを腹部にモロにくらってしまった。
冗談だったのに。
扱いづらい年頃だ。
「…お兄ちゃん…大丈夫?」
「ふん、自業自得よ」
心配してくれる愛莉に、殴ってもそれは俺のせいだと吐き捨てる沙紀。
なんで姉妹でこうも違うものなのかね。
「あ、ゆーくん! 次はあっちに行ってみようよー」
沙紀の攻撃にその場で軽くうずくまる俺に何事も無かったかのように接する千波。
え、何?
さっきの出来事は君の中じゃなかったことになってんの?
「はいはい。じゃあ先に行ってて…」
「ほらぁー、早く!」
もうちょっと回復してから行こうと思い、千波を先に行かせようと思ったけど、その千波に腕を引っ張っられ連れてかれる。
「あれ、神崎じゃねぇか?」
「あー! ゆーちゃんだぁ!」
千波の目指す方向に、見覚えのある2人の先輩の声がとんできた。
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