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「あ、進藤先輩に彩先ぱ…」
「ゆぅ~ちゃあぁぁぁぁん!」
2人の存在に気づき、声をかけようと口を開き、閉じ終わる前に彩先輩に抱きつかれた。
これはハグという綺麗な形というか、絡みつくって言った方が正しいのだろう。
「あのー…彩先輩、く、苦しいんですけど…」
「ゆーちゃん。快楽は時にして苦しみを伴うものなんだよ」
…なるほど。
今は苦しいけど、これが後々快楽に変わっていくのか。
確かにかなりの密着度なのでその感触だけで彩先輩のスタイルが分か――
「こらぁ! バカ兄ぃ! 人前でなんてことしてんのよ! 離れなさい!」
と、沙紀が割って入ってき、俺と彩先輩を離した。
なんだよー。
もうちょっとで快楽に変わるかもだったのに。
「ははは破廉恥ですよ、彩さんも! お兄ぃにくっついたら最後、骨になるまでしゃぶられちゃうんですから!」
「え、そうなの!? それはそれで嬉し…」
「彩。そろそろ冷静になれよ。神崎や愛莉ちゃんが戸惑ってんぞ」
コツンと優しく彩先輩の後頭部を手の甲で小突き、そう溜め息混じりに言う。
反対の手で愛莉の頭を撫でて。
愛莉が戸惑っているのは多分そのせいだろう。
普段愛莉の頭を撫でるのは俺だけだから、いつもと違う手触りに戸惑ってるみたい。
「そうです、ゆーくんに抱きつけるのは居候であるわたしだけの特権です!」
「うぉっ! 千波…本当にくっつくなよ!」
「こらぁー千波ぃ!」
「ずるいよー、ちーちゃんだけ。私もぉー」
千波の言動がきっかけとなり、みんなが俺に向かって集まってきた。
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