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とりあえずはみんなクールダウンして俺から離れたものの、依然としてその距離は近い。
「歩きづらいんだけど…」
「うん、わたしもそう思う」
ぽつりと呟いた一言に千波が共感を声をあげた。
分かってんなら早く離れようぜ。
それでも離れて歩かない千波に疑問を抱きつつ、大学祭を回る変な集団。
愛莉は進藤先輩が怖いのか、俺の足にしがみついてて、それがまた歩きづらい。
「あー、ハッシュドポテト屋さんだー。ゆーくんあれ買おう!」
ぴたりと足を止め、目当てなものが欲しいと俺にたかってきた。
俺、完全に財布代わりだな。
はぁ、と心の中で溜め息をつき、減量中だったら嬉しいぐらいに痩せていく財布をポケットから取り出す。
「千波ちゃん。あれなら俺が買ってあげるよ。沙紀ちゃん、愛莉ちゃんもいる?」
その俺より素早く財布取り出した進藤先輩が千波たちにおごると言ってくれたので、それに甘えて財布をしまった。
「やったー! じゃあ、わたし2個だよ、2個」
「うーん…。私はハッシュドよりフライドの方がいいんだけど」
「愛莉…アイスが食べたい…」
おごってくれるとのことで、たかる対象を俺から進藤先輩に変えた3人は各々に意見を言う。
そしてそのまま店に向かっていく進藤先輩に居候と妹たち。
やっと息苦しみから解放されたよ。
ふー…と背伸びして、窮屈さから解放された体をリラックスさせる。
あれ?
そういえば彩先輩は?
いつしか姿が見えなくなった彩先輩を探して辺りを見渡した。
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