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「おいしい!」
「うん。千波ちゃんたちに喜んでもらえるなら悦んでおごってあげるよ」
少しして色々と手に食べ物を引っ提げた千波たちと合流して、また学祭巡りに集中する。
千波のやつ、先輩にたくさんおごらせやがって…。
でも先輩も喜んでいるようだし、それはそれでいっか。
お金のことなんてまるで知りません、と言わんばかりの居候暴君は歩いている途中に何かを見つけた。
「あ、演劇部…?」
それはポスターのようで、千波はそこに書かれた文字を口にする。
おいおい、まじすか。
昨日の今日なんで俺は遠慮したいんですけど…。
「あー、これ毎年恒例のやつだね」
「俺昨日これ見ましたよ。いい話でしたね」
「ゆーちゃんそっちじゃなくて、こっちこっち」
「え…?」
俺は昨日見た演劇のことを思い浮かべていたのだが、彩先輩の言ってることとは違っていたよう。
そしてそれを教えるべく先輩はポスターに書かれた文字を指差した。
「私たちの衣裳を着てみませんか?(記念撮影化)」
衣裳着ませんか?
書いてあった言葉をそのまま言葉に変換した。
「――これって…」
「あぁ、演劇部毎年恒例の行事だ。簡単に言えばコスプレしませんかってことだよ」
進藤先輩が付け加えて説明してくれる。
「へー…楽しそうですね」
別に他人事として捉えてそう言っただけのことだった。
「じゃあみんなで行ってみようよ!」
千波がその気になって行きたいと言い出した。
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