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俺が本心を言った途端、顔をにやけさせ、調子に乗り出した。
「んもー、まったく。そんな心配しなくてもわたしはゆーくんから離れたりしないんだから~」
そう言って俺に抱きつき、離れようとしない。
「いや、さすがに離れろって」
「いいじゃない。今は沙希も愛莉ちゃんもいないんだから」
確かに、春休みに遊びに来た妹たちも春休みが終わりに近づいた今はもう地元に戻っている。
だから沙希にロリコン、とか言われて殴られる心配は無いけど……
「そ、そういう問題じゃない!」
俺は慌てて、少し強い力で千波を俺から強引に引き剥がした。
「痛いよ、ゆーくん……」
その力が千波には痛かったみたいで、俺が触れた肩を手で擦っている。
「ご、ごめん。そんなに痛かったか?」
「でも、ゆーくんこんな感じでわたしを抱きしめて、わたしの唇を…」
心配になって千波に声をかけたのに、千波は思い出に浸っているようだ。
千波にとって嬉しいことだったのかもしれないけど、俺はその時のことを思い出すだけで体温が上がる。
それにその時のことをあまり覚えていないとはいえ、付き合ってもいない女の子にあんなことするなんて、と後悔を覚えたりもするんだ。
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