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「はい。おまちどうさま」
お待ちになってもいないのに勝手に料理を手に台所の方から千波がやってくる。
キャベツと人参の野菜炒めとうどん。別に料理自体重たいものじゃない。
さっき朝飯食べてなければね!
「千波…今お腹いっぱいなんだけどさ」
当たり前の文句を言ってみるが、そんなことはお構い無しの千波。
「あー! そんなこと言って本当は外に出たくないんでしょー!」
「いや……本当に満腹なだけなんだけど…」
本当のことを言っても千波は聞く耳をもたず、食べろ食べろとうるさい。
仕方なく満腹なのに箸を手にして料理を挟んで口へと運ぶ。
「どう? おいしい?」
味わってる余裕なんてありません。食べきることだけ考えないと逆流してしまいそうだ。
「もう、感想も言えないくらいにおいしいの? もっと作れば良かったー」
黙々と食べる俺を見て、千波の目には俺はおいしすぎて何も言えずにただのハラペコに映っているようだ。
黙々と食べた結果、なんとか野菜炒めは食べきり、うどんもほぼ完食に至る……
「はい。わたしの分も食べていいよ?」
空になりかけた器の中に千波は自分の分のうどんを入れてきた。
って何してくれんじゃーっ!
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