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「ご、ごちそうさま…」
「おそまつさまでしたー」
結局千波の分のうどんも食べきり、もう動くのも気持ち悪い。
当の千波は満足気な表情で空いた食器を持って流し台の方へと向かう。
それにしても、最近千波はよく料理を作るようになった。
それがテレビの影響なのか、居候としての自覚が出てきたからなのかは分からないけど、とにかく助かる。
それに女の子らしいし。
「ね! 昼ごはんも食べたことだし、外に出ようよ!」
台所の方から戻って来た千波は、興奮した様子で、動きたくない俺の腕を引っ張って強引に動かそうとする。
こういう我が儘なところはまだ幼さを感じるな。
「はー…。分かった分かった。外に出るから引っ張るな」
「やったー! それじゃ、早く行こうよ! 早く!」
これ以上揺らされるとリバースしかねないので、渋々外に出ることを了解する。
まぁ、外に出れば千波も納得するし、出ても動かなければいいだけだし。
でも、人生ってそんなにうまいこといかないんだよな。
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