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な…何?
「いじめていいのは俺だけだ…他の奴があいつをいじめるのは許せない…」
「い…意味わからないわ。それにそんな事して好きになるわけないじゃない!」
「そうだな…だから素直になれない自分がくやしかったんだ」
「……しかも、卑怯だし」
「?」
「まだ思い出せないみたいだから言うけど、私があなたを最も憎む理由言おうか?私ね…幼稚園の時好きな男の子いたの」
「……あぁ…あれか」
「…こんなからかわれて友達できない私にただ一人優しくしてくれた子よ。それなのに突然私を無視して他の子と同じようにからかってきた」
「……」
「勇気出して問いただしたらあんたが噛んでたみたいじゃない。あんたが私がその子が嫌いだったって嘘の事いったからあんな…」
卑怯…卑怯な男。
「なんでこんな…」
「しかしあれは…いや」
「?」
「とられたくなかったんだ…あいつに」
「…」
「素直になれなくて…好きな子をいじめる、なんて…滑稽だな」
竹岡は笑った。
「ただ…俺はお前と話したかっただけなのにな」
「…」
こいつは本当に竹岡吉矢か?
今更そんな事いわれて信じられるわけない。
「だからって…なんて自分勝手な男」
「……」
「それで再会して、私が女子に嫌がらせされたのを助けて……あの時の罪滅ぼしのつもり?」
「罪滅ぼし?」
「あんたは昔散々私に酷い事した。髪をきってお化けとからかって好きな人には嘘をいって嫌わせて……まだまだ沢山ある。でも今は私を助けて…今更そんな事されて私があんたを好きになると?」
「なってはくれないのか?」
「ならないわよ!ふざけないで」
女特有のヒステリー声をあげて私は竹岡を睨む。
「私はあんたを憎んできたんだから、あんたが私を好きじゃ意味ないのよ……」
「憎まれてもいい。でも俺はお前が好きだ」
「言わないで!このっ!」
私は懐にしまっていたわら人形二号を投げつける。
「こんなの頼りにしなくても目の前に俺がいるんだ。突き落とすなり刺すなりできるだろ」
「そ…それは」
「出来ないのか?昔からお前は行動したいわりには行動できず影でぐちぐち。暗いお前にはお似合いかもな」
「うわぁあああああああぁぁあ!」
キレた。完全にキレた。
私は涙を溜めて竹岡の胸元を強く掴むとベッドに引きずり、倒し、馬乗りすると強く強く無我夢中に胸を叩いた。
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