全ての始まり

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何も悪い事してないのに… 「ちびー!」 「おばけー」 男子も女子も一緒にからかう。 私の髪は長い…腰まである。 前髪も少し長かった。でも前髪をきっても変わらない。 「前髪きったぞお化けが!」 「お…お化けじゃないもん!」 泣くとまた色々言われた。 俯くと長い髪が顔にたれさがって更にお化けだ。でもこの長い髪は切れない。 折角ここまで伸ばしたんだ。切るなんて勿体無い。 しかしある男の子のせいで私は…彼を…彼を一番憎む事になる。 事の発端。私の髪が長い事でお化けとからかった張本人が突然残酷な事を言ったのだ。 「髪切ってやるよ」 「いやっ!」 「こらあばれんな!少しだけだよ」 「いやいやっ!」 私は大事な髪をかばいながら抵抗した。それが彼の手元を狂わせたのだ。 「あっ…」 「!」 ザクッと音をたてる。 手応えを感じた。 腰まであった髪が肩にかかるくらいの長さまで切られる。 「……」 「わ…悪い…俺」 瞬間、何かがぶちっと私の中で音をたてた。 「…らい」 「え…」 「嫌い…あんたなんか嫌い…大嫌い!」 「た…たかが髪だろ。また伸ばせば…」 「そういう問題じゃない!」 今まで表に感情を出さないおとなしい暗い自分しか知らない彼は驚いている。 「……前々から思ってた…私…あんたが嫌い」 「……」 「私をからかっておもしろい?弱いものを集団でからかって笑ってさぞ楽しいでしょうね」 「俺は…」 「呪ってやる」 何故か…そんな言葉が出された。 「憎んで…呪って………殺してやる」 「っ…」 幼稚園の年長組の子供の言葉とは有り得ない言葉を吐き捨てて…私は彼を憎んだ。 しかし小学生になり、三年になると私は親の仕事の関係で遠い所へ行く事に。 それでも私はその男を憎み続け忘れる事はなかった。 数多の呪いグッズを通販で買う程私は離れていても彼の名前を書いて呪いの言葉をぶつぶつ唱える。 それを気味に思われ私は新しい学校にいても孤独だった。 でもそんなのどうでもいい。 「竹岡吉矢…」 呪いの祈りか神の祈りか…通じたのか私は高校二年に地元へ帰ってきた。そして運がいいのか悪いのかその学校の…クラスに…あの男、竹岡吉矢がいたのだった… .
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