呪い少女と一匹狼

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最初は竹岡吉矢がこのクラスにいるとは気づかなかった。 何故ならあまりにも顔が変わり、あまりにも雰囲気が変わったからだ。 「それじゃあ緒方の席は竹岡の隣な」 「竹岡?」 なんか嫌な気分だった。竹岡という名字だけで拒絶反応が起こる。 それでも先生に席を託され、渋々隣の席に座る。 「宜しくね竹岡君!」 とりあえず第一印象は大事だ。私は笑顔でいった。 そんな竹岡という男は私の顔をまじまじと見つめる。 「な…に?」 「緒方…有華」 「そうだけど…何」 「いや…」 ふいっと目をそらし、窓に視線を向ける。 「…」 なんなんだ?この男。 しかし私はすぐにこの男を知る事になる。 「緒方さん、竹岡君と何話してたの?顔近くて気が気でなかったよ」 「転校初日…キス」 「されてない。何?彼人気なの?」 「常に一人でいるとこがクールなんだよねー、なんか他の男子とは違う」 「そうそう影でファンクラブもできてるんだから。竹岡吉矢ファンクラブ」 ん? 「ちょっと待って。竹岡吉矢?」 「そうよ」 「何?知ってるの?」 「昔同じ名前の男で嫌な事があって」 「昔?あーでも竹岡君確かに昔と今とじゃ雰囲気かわったかも」 一人の女子が竹岡を見る。竹岡はぼーっと窓をみたまま席に一人。 「昔は結構明るくてガキ大将で周りをひきつれてたらしいよ。今では信じられないけど」 「そう…それである女の子を…って緒方さん!?」 女子の話をすり抜け…私は真っ直ぐ自分の席…いや、竹岡吉矢に近づく。 竹岡が私の存在に気づき、じっと見つめる。何を考えているのかわからない。 でもやはりこいつだった。…竹岡吉矢。 「…あんただったなんてね」 「やっぱりあんたがお化けか」 お化け…懐かしい呼び名、でもあんたに髪切られたからもうお化けじゃない。 「竹岡吉矢…」 そして私は常にポケットに入れていた呪いのわら人形を取り出し奴の顔につきつける。 周りも竹岡本人も驚いていた。 何故ならそのわら人形には沢山の釘で打たれた跡があったから… 「……どうりでここ何年体調が悪いと思った」 「じわじわとあんたを殺す為にね」 「女の執念は怖いな」 「私は今でもあんたを許さない」 「たかが髪で?」 「髪はもう仕方ないから諦めてる。私が許せないのはあんたの存在…」
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