第1話 日常

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おやつどきに来ていた客のピークも過ぎ、一段落ついたところで奈津さんに呼ばれた。と言うより、店の隅の方で俺にむかって手招きしている。 絶対なんかあるな… 「……何ですか?」 知らんぷりもできたが、後が面倒なので素直に従うことにした。 「挨拶はどうしたぁ!?私への挨拶はぁ!」 1メートルほど近付いたところで奈津さんは持っていたおぼんで俺の頭を思い切り叩いた。 「…ッテェ~!……俺挨拶しましたけど。奈津さんが聞いてなかったんでしょう。」 「…話すときは相手の目を見て話す。」 顎を持ち上げられ、無理矢理目線をあわせられる。 「……顔ちけーよ。」 ッガン!! 再び叩かれた。 「敬語。」 「…近いです。」 「よろしい。」 ってか地味に痛い。 「で、何だっけ?」 「奈津さんが呼んだんでしょう?」 駄目だこの人…やっぱり苦手だ。 「やっぱり直ちゃんとなっちゃんは仲良いわね~。妬けちゃうわぁ~。」 気付けば静さんが背後に立っていた。しかしこれが仲良く見えるなら静さんの目はどうかしている。
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