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まただ……
これで何度目だろう?
聞こえてくるのは父さんと母さんの言い争う声。
飛び交う汚い言葉の数々。
まだ幼い妹がいるというのに……妹は何が起きているのか分からずにただ泣きじゃくっている。
『もうやめて』、それすら無力な俺は言うこともできずただそんな光景を眺めていた。
昔からそうだった。父さんも母さんも俺を見ていない。見ているのは世間体ばかり。
だから幼いころから自分でできることはことはすべて自分一人でやった。
自分自身を見てほしかったから。
ただ褒めてほしかった、『えらいね』『よく頑張ったね』ただそれだけ言ってほしかった。
たったそれだけで救われたと思う。
しかし、現実は目の前にある。
あぁ…なんて醜い……。
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