ホモ【バイ】 相沢 全

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月日が流れるのは早いもので、 ――――― ―― そして現在。 朝の6時半。 私は 母親と義父親 、兄、自分のお弁当に加え、最近できたサディスト彼氏のお弁当をつくっていた。 やっと完成した5つのお弁当を目の前に、 「ふう、」 溜め息をついた。 お弁当を作るのは、いつもの事なんだけど 一つ増えるのが、こんなに大変だとは思わなかった。 虎くんの「弁当が食いてぇ」の一言で、こうもあっさり動いちゃう自分に 逆にびっくり。 「さてと、…」 学校に行く準備を始めようかと、キッチンから出ると、 ガチャ こんなに早くに珍しく、お兄ちゃんが リビングんに現れた。 「おはよう お兄ちゃん。今日は早いね」 お兄ちゃんは頭に寝癖をつけて、首もとをボリボリかきながら「おー」なんて返事をする。 「はぁ、いいなぁ。」 寝起きのおっさんみたいな仕草でも、お兄ちゃんは 顔が良いから なんか許される。 「なにが…?」 リビングのソファーにすわって、まだ眠たそうな目を私に向ける。 「なんでもぉ―」 お兄ちゃんが羨ましいなんて 卑屈になってもしかたない。 そう思い直して 出来たばかりのお弁当を自分の分とサディスト王子様の分をカバンに詰め込む。 「へぇ彼氏できたんだ。いいなぁ今日子は…青春じゃん。」 早く起きた割にソファーから動かず、お兄ちゃんは私の様子を眺めてそういった。 .
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