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星東学園中等部三年の教室。
そこには一人の少年が、窓際の一番後ろの目立たない席に座っていた。
机に片肘をついて、窓の外をじっと見ている。
「……」
窓の隙間から吹き入る風が、少年の前髪を揺らす。
それにつられたように、少年は目を眇めた。
少年の名を、桜井翔太と言う。
窓の外では、風に合わせて桜の花弁が舞い、春の香りを漂わせている。
ふと、翔太は桜の中に人影を見た
「……?」
翔太より、少々小柄だろうか。
薄茶の髪を遊ばせ、桜の木の傍に立っている。
今は授業中。
本来なら、そこに同い年程度の生徒がいるはずはない。
教壇を見上げ、翔太は思う。
――誰だろう
しかし窓の外に視線を戻した時、翔太の視線は桜を彷徨い、確かにそこにいたはずの人影を見つけることはなかった。
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