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最近、お姉ちゃんにお兄ちゃんを取られている気がする。
違う、お兄ちゃんにお姉ちゃんが取られているんだ。
ピアノの練習も、お兄ちゃんとお姉ちゃんだけでやっちゃうし、お姉ちゃんのコンクールが近いとかで、お兄ちゃんは私の練習を見てくれなくなった。
遊びに行く時だって、お姉ちゃんは私よりお兄ちゃんの方をよく誘う。
手だってお姉ちゃんから繋いでいるのに、私とは繋いでくれない。
ばか、ばか! お兄ちゃんもお姉ちゃんも嫌い、嫌い、大嫌い。
幼い少女の中をぐるぐると巡る感情は、嫉妬と疎外感。
彼女は自分の実姉と義兄がどちらも大好きで仕方なかった。
「お兄ちゃん」と呼んでいる人と血の繋がりがないことは知っている。
それでも幼い頃から自分を大切にしてくれた彼は、少女にとってかけがえのない存在だ。
実姉と出会ったのも最近のことだった。それでも会えなかった時間を埋めるように自分を可愛がってくれる彼女も、少女にとってかけがえのない存在だ。
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