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「レミィはまだ寝てるの?」
彼女が来たのなら、同時に紅魔館の主人。レミリア・スカーレットの起床を告げている。
「いいえ、お嬢様はすでに起床されています」
案の定、彼女は淡々と分かりきった答えを返した。
「‥そう、何か伝言?」
同じ口調で返してみる。
「…いいえ、お嬢様は何も言ってませんでしたわ」
相変わらず、彼女はどこか抜けていると思った。
だが、抜けている彼女は彼女自身を定義付けるものではない。
本を閉じて、彼女を見てみる。
紅魔館のメイド長。まったくもって使えない妖精メイド達を一人でまとめ。
掃除や洗濯、買い物さえもそつなくこなす彼女は静かに微笑んでいた。
「…十六夜咲夜」
「はい?」
突然、フルネームで呼ばれれば当然の反応。
咲夜はきょとんとした顔でパチュリーを見た。
「貴女の名前はレミィが名付けたのよね」
「はい」
「言うなれば名付け親よね」
「いいえ。お嬢様はお嬢様であって、そのような考えは私にはありません」
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