「日陰の少女1」

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「レミィはまだ寝てるの?」 彼女が来たのなら、同時に紅魔館の主人。レミリア・スカーレットの起床を告げている。 「いいえ、お嬢様はすでに起床されています」 案の定、彼女は淡々と分かりきった答えを返した。 「‥そう、何か伝言?」 同じ口調で返してみる。 「…いいえ、お嬢様は何も言ってませんでしたわ」 相変わらず、彼女はどこか抜けていると思った。 だが、抜けている彼女は彼女自身を定義付けるものではない。 本を閉じて、彼女を見てみる。 紅魔館のメイド長。まったくもって使えない妖精メイド達を一人でまとめ。 掃除や洗濯、買い物さえもそつなくこなす彼女は静かに微笑んでいた。 「…十六夜咲夜」 「はい?」 突然、フルネームで呼ばれれば当然の反応。 咲夜はきょとんとした顔でパチュリーを見た。 「貴女の名前はレミィが名付けたのよね」 「はい」 「言うなれば名付け親よね」 「いいえ。お嬢様はお嬢様であって、そのような考えは私にはありません」
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