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言い切った十六夜咲夜は満足気に微笑んだ。
レミリア・スカーレットの話をするといつもこうだ。と、パチュリーはため息をついた。
「素晴らしいわ咲夜。それでこそ私の僕」
「勿体ないお言葉ですわ、お嬢様。」
なんの前触れもなく、最初からそこに居たかのようにあらわれた少女。
紅魔館の幼き紅い悪魔。
容姿からはとても500年生きているようには見えない。
「あら、レミィ。おはよう」
「ええ、おはよう。唐突だけど、貴女に話があるわ」
‥本当に唐突だった。
挨拶もそこそこに、十六夜咲夜が淹れた紅茶を飲もうとしたパチュリーの行動をレミリアは一言で止めた。
パチュリーは紅茶の入ったティーカップをソーサーに戻すとレミリアを見た。
「どうしたの?何か見えたのかしら」
当たり前のように話しているが、人間には分からない会話だろう。
レミリアは運命が見える。吸血鬼として生まれた時からこの能力を持っていたらしい。らしいと言うのはレミリアが詳しく話さないから。
「ええ、見えたわ。はっきりと。明日、魔法使いの住む森で小さな異変が起きる」
「なら、神社の巫女がなんとかするじゃない」
パチュリーはあまり興味なさげに言い返した。異変となれば自動的に解決される。
「いいえ、これは決定事項なの。彼は人とは違う力を持っているわ。」
「…」
興味が無いのだが、パチュリーはレミリアの言葉に興味を示した。
「どうするの?捕まえて何かに利用するのかしら?」
「‥そうね…。」
そこまで考えていなかったのか、レミリアは人差し指を口に当てる仕草で何か考えてる様だった。
「今回は楽しませて貰うわ。彼がこの世界にどんな影響をもたらすのか興味があるわ」
「…」
パチュリーはレミリアの話を聞きながら先ほど読んでいた本に右手をのせた。
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