俺、僕、私

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「……っ」 目が覚めた時にはまた時遅し。 君との約束の時間だった。 枕元に置いた携帯には、君からの着信履歴(しかもたくさん)とメールが一通。 内容は… 『今から行くよ』 今日も、お家デートにしようか。 ほら、チャイムが……聞こえない。 しばらく布団を被りながら待ってみたけど、一向に彼は来なかった。 電話をかけても繋がらない。 じっとしているのにも飽きてきた。 かといって再び寝ようにも目が冴えてきて眠れない。 仕方ないので起きることにした。 洗顔に歯磨き、寝癖直し、服選び等々を20分で済ませて家を出る。 彼は怒っているのだろうか? そんなことを考えながら辺りをキョロキョロと見回す。 ジョギングをしてるオッサンのハゲた頭から反射してくる陽光に目を細めたり、置いてある自転車のカゴに丸まっていたネコなどにかまったりしながら、彼との待ち合わせ場所へと向かう。 小道から大通りに出ると、人や車が沢山。気分が少し鬱になった。騒がしいのは好きじゃない。 車の渋滞を横目で見ながら、僕は歩道を歩いていく。 しばらく行くと、前方に何やら人だかりが出来ているのに気付いた。 そこは交通事故がよく起こる場所だった。 そこには一本の大きな木があって、それをよけるようにして歩道が大きく迂回している。 迂回路を使えば10分。車道を使えば1分で木の反対側にでられる。 だからせっかちな歩行者はよく車道に出るのだ。 そこを車にタックルされるというパターンの事故が頻発していて死者も出ている。 僕は事故が発生するたびに馬鹿だなと心の中で呟きながら、車道を通っていた。
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