通学路にて

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 真良一輝(しんらかずき)が歩く通学路は、いつも突き刺さる視線の嵐が吹き荒れていた。  半分は奇異のまなざし、残りは男子生徒の嫉妬と殺意が含まれた視線だった。  その原因は一輝の左腕に寄り添っている少女にあった。  愛らしさを兼ね備えた整った顔立ち。  ほっそりとした可憐な腕と黒のニーソックスで包まれた繊細な足。  ふたつの小さな黒いリボンを飾り付けた長くて綺麗な髪。  外見だけ判断するなら文句なしの美少女だった。そう、外見だけなら・・・  少女の名は真良美紅(しんらみく)。一輝のひとつ下の妹で、今年の春に入学したばかりの高校1年生である。
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