通学路にて

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 一輝と美紅は、幼い頃に両親を交通事故で亡くし、今日まで兄妹のふたりきりで過ごしてきた。  そのあいだにも、いろいろとつらいことがあったが、美紅がこうして無邪気でいるのは、とあるものとの出会いのおかげだった。    このきっかけがなければ、今の美紅はいなかったと断言できた。一輝は今のままの美紅でいたらいいと思っている。  少し怪しい電波系の方向に向かっているところが気にならないといえば嘘になるが、とあるものと出会う前の美紅よりははるかにいい。そう、あの頃の妹を知る者としては、二度と時間を戻したくなかった。  美紅にはこれからもずっと笑っていてもらいたい。  だから、過去よりも今、そして未来へ続く道を明るく照らしてあげたいと切に願う。 それが兄としての使命だと一輝は思っていた。
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